衛星データビジネス

学術・研究用途だけでなく、世界各国で衛星データを用いたビジネスが創出され始めています。
ここではその一部をご紹介します。

衛星データからわかること

衛星データにより、「陸域」、「海域」、「空域」の多くの事象や状況を、世界中どこでも把握することができます。
観測するセンサにより条件はありますが、広範囲を周期的にかつ長期間観測可能なのは人工衛星だけです。

衛星データの種類

人工衛星には、人間の目に近い光学衛星、電波を飛ばしてその反射を見るSAR衛星、雲や雨を観測する気象衛星などがあります。
衛星データの分解能(人間の視力に相当します)は、光学衛星の1mを下回るものから、気象衛星の数100mまで、幅広いレンジに対応しています。

Tellus搭載データ

Tellusには、衛星データだけでなく、地上データなどが搭載されており、複数のデータを統合的に解析することで、経済動向の把握や太陽光パネルの効率的な立地の選定などへの活用が期待されます。

衛星データを利用したビジネス

宇宙を利用したビジネスには、人工衛星を利用するものと宇宙空間を利用するものがあり、多くの民間企業が事業を推進しています。
その中でも人工衛星を利用するビジネスには、地球を広範囲に調べる、高度な位置情報を検出する、時と場所を選ばずに通信を行う分野がありますが、地球を広範囲に調べた衛星データを使ったビジネスが、近年その領域を大きく拡大しています。
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資産調査

土地の肥沃度、石油残量、夜の地球の明るさを人工衛星から観測し、その状況と変化から農作物収量、石油備蓄量、GDPなどを予測することで、先物取引やファイナンスの審査用のデータとして活用されています。

代表的な企業

株価予測

衛星データから駐車場の車両台数をカウントし、企業の業績予想を算出するとともに、これを指標化し株価予測に役立てている例もあります。また、自動車メーカーの出荷場の台数を分析し、自動車の生産目標の達成を見通し、事前に予測することもできます。

代表的な企業

保険

農作物の損害と関係がある天候指標(気温や降水量など)を定め、それが事前に定めた条件を満たしたことを衛星データで確認して保険金が支払われます。 現地調査がいらず、保険内容がシンプルになるため、保険に馴染みが無い途上国の農家にも受け入れられています。

代表的な企業

物流

世界の物流の約9割を占める海上輸送では、衛星による航路のトラッキングや違法漁船の位置データ等を把握することで、海上保険や海難救助に役立てられています。また、航空輸送においても、衛星による航路のトラッキングにより、安全性の向上、運航効率の向上などが実現されています。

代表的な企業

建設・不動産

建設予定地、空き家、耕作放棄地などの状況を、衛星データで広範囲に把握して、建設計画や都市計画の検討、評価を行うことができます。また、気象データや地理情報データを活用すると、設備設置の効率的な配置や災害などのリスク管理を行うことも可能です。

代表的な企業

地形把握

人工衛星から、世界中の土地利用、災害リスクや、水管理、プラント、道路などインフラ施設の配置、を把握することができ、インフラ施設の効率的は配置や土地開発計画の立案、評価に活用することができます。また、3次元で世界中の地形を把握することも可能です。

代表的な企業

インフラ監視

人工衛星により、ダム、堤防、港湾施設、道路、鉄道路線などの巨大な公共インフラの高精度かつ広範囲に変動を抽出することが可能です。これにより、公共インフラの劣化状況の把握や補修計画の立案が容易に行えるようになります。また、ビルや地盤の微細な変動も広範囲に観測でき、補修計画の立案や水道管の水漏れなどのリスク管理にも活用できます。

代表的な企業

農作物の生育予測

衛星データから農作物の作付面積、生育状況、食味の把握や適期収穫時期の予測を行い、農業生産者の生産性と収益性を向上する意思決定支援が行われています。また、衛星データと地上データを組み合わせることで、農業ノウハウの見える化も進められています。

代表的な企業

魚群探査・養殖監視

広い範囲の海洋の情報を効率よく収集するには人工衛星が適しており、海面水温、植物性プランクトン、海面高度などの情報による魚群探査が行われています。これにより漁獲高の向上だけでなく、漁船の燃油節約など効率的な漁業につながっています。また、水産養殖でも環境データとしてリスク解析に活用されています。

代表的な企業

森林監視・管理

広範囲な森林を人工衛星により効率的に観測し、樹種分類による森林管理や病害虫の被害把握などが行われています。また、大規模な森林火災の把握、違法伐採の監視、植林地の選定などにも衛星データが活用されています。

代表的な企業

天気予報

ひまわりを始めとする気象衛星のデータやアメダスなどの地上データを活用し、コンピュータシミュレーションを行うことで、日本全国の広範囲な天気予報から、イベント開催時やお店のある地点の詳細な天気予報まで様々なレベルの予報が行われています。

代表的な企業

紫外線・大気汚染情報

人工衛星は、人の目には見えない大気中の大気汚染物質や黄砂などの観測を広範囲に行うことができ、日本に飛来する予測に活用されています。また、地上に降り注ぐ有害な紫外線を防いでくれる世界中のオゾン層の観測も、人工衛星が行っています。

代表的な企業

疫病監視

人工衛星からは、病原菌や媒介する昆虫などを見ることはできませんが、温度、湿度、地形、降水分布などから、病原菌の感染ルートの把握や拡大リスクの予測などに役立てられています。

代表的な企業

防災・防衛

人工衛星は、世界中どこでも広範囲に、かつ昼夜問わず地上の情報を集めることができることから、災害や有事の際の状況を把握し、オペレーション計画に役立てられています。また、災害からの復興計画の立案や防災のリスク管理にも活用されています。

代表的な企業

解析結果提供

衛星データを解析・分析すると、地球上の様々な情報を取得することができます。IT技術の発達に伴い、扱えるデータ量やコンピュータ環境が劇的に変化したことから、自動で解析した情報や新しい知見が様々なドメインの企業、政府機関などに提供されています。

代表的な企業

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